アゴズレ治療の流れ
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1全身の健康状態の把握
患者様の全身の健康状態を正確に把握するために、「丸山式全身健康チャート」を使って気になる症状などをご記入頂きます。
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2アゴの位置を精査
全身に対するアゴの正しい位置のことを「全身健康顎位」と言いますが、これに対して現状、アゴがどちら側にどれくらいズレているのか確認します。
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3歯型模型による精査
アゴのズレは不正咬合が原因で生じていることも多く、その場合、アゴズレ治療でアゴを正しい位置に治しても元の悪い位置に戻ってしまうことがあります。そのため、患者様の歯型模型を作製して精査します。
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4三点検証法
上記の内容でアゴのズレを診断した後、「三点検証法」という方法で全身のバランス状態を確認します。X軸(前後の軸)・Y軸(左右の軸)・Z軸(左右にねじれる軸)の3軸を基準に、体を前から押したり、真横から左右の肩を押したり、前後から左右の肩を斜め向きに押したりして、身体に前後・左右の傾きや、左右へのねじれがないか精査します。
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5首・腰の触診
三点検証法の結果とあわせて、首や肩に緊張や骨格異常がないか確認するために触診を行います。アゴのズレは頭部を支える頸椎への影響が大きいため、特に首の触診は重要となります。
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6筋力診査
患者様に両腕を開いた状態で真っ直ぐ立ってもらい、両腕を上から同時に押した時の反応から筋力を診査します。腕に力が入るかどうかではなく、正しい筋力反射がみられるかどうかを基準に、アゴがどのようにズレているかを判断します。
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7アゴを正しい位置に矯正
各種診査によって得られた情報をもとにアゴのズレを総合的に診断した後、アゴを正しい位置に矯正します。アゴを正しいと想定される位置(全身健康顎位)に動かして、丸山式バイトスティックを軽く噛んでもらって保持します。こうしてアゴを全身健康顎位に動かすことで、その場で不定愁訴などの症状が軽減・消失することもあります。
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8MFAの装着
全身健康顎位へ動かしたアゴの位置を保つために、「MFA(下顎位是正装置)」と呼ばれる取り外し式の装置を装着します。通常、装置の装着期間は4ヶ月から半年程度で、その間にアゴの位置が安定します。
なお、装着開始から2ヶ月程度はできるだけ装着時間を長く取って頂くようにします(食事や歯磨きの時以外は装着するのが理想的です)。そうすることでアゴの筋肉の硬直が緩み、正しい位置へ安定していきます。そうしてアゴの位置が安定してきたら、今度は装着時間を短くします。そうして4ヶ月から半年かけてアゴの位置の安定をはかります。 -
9装置の調整
MFAを装着している間も、無意識のうちにズレていた元の位置にアゴを動かしてしまうため、1ヶ月に1回程度のペースで通院して頂いて装置の調整を行います。
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10治療終了
アゴが全身健康顎位で安定するようになったら、アゴズレ治療は終了です。アゴズレ治療の期間はズレの程度、ズレていた期間、患者様の年齢などによって異なりますが、一般的に若い方ほど短期間で終了する傾向にあります。
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11各種歯科治療を実施
アゴズレ治療が終了した後は、必要に応じて矯正治療や補綴治療などの歯科治療を行います。このようにまずはアゴのズレを治した上で、咬み合わせなどの問題を改善していくという順序になります。
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12MFAの装着を継続
MAFによってアゴが正しい位置で安定しても、装着を止めてしまうと元の位置に戻ってしまう場合があります。そのため、治療終了後も1日1回(5~10分程度)は継続して装着を装着されることをおすすめしています。当院でアゴズレ治療を受けられた方のうち、6~7割程度の方は毎日装置の装着を続けておられます。もちろん、治療後も装着し続けても問題はなく、3ヶ月から1年に1回のペースで調整を行って装置を適切な状態に保ちます。